この記事を読めば凶悪事件の犯人に熱烈なファンが生まれた理由とその心理的背景が深く理解できます。
「なんでファンがいるの?」
と不思議に思ったことはありませんか。
市橋達也受刑者の名前を調べると今でもファンの存在に触れる内容が見つかります。
事件そのものの残酷さを考えれば「ありえない」と感じる人がほとんどでしょう。
でも、この現象には人間の心理と社会的背景が複雑に絡み合っていてそれを知ることは私たちの社会を理解するうえでも意味があると思うんです。
市橋達也とはどんな人物なのか
事件のあらまし
2007年3月、千葉県市川市のマンションで英国人英会話講師のリンゼイ・アン・ホーカーさん(当時22歳)が遺体で発見されました。
市橋達也はその場から逃走して、2年7ヶ月にわたる逃亡生活の末、2009年11月に大阪で逮捕されています。2011年7月、千葉地裁の裁判員裁判で無期懲役の判決が確定。現在も服役中です。
事件そのものの概要はこのくらいにして正直ここは調べれば誰でも出てくる話なので2行でまとめておきます。
私がもっと気になったのは、その先のこと。
なんでこんな事件を起こした人に「ファンが生まれたのか」というところなんですよね。
世間を驚かせた「高スペック」プロフィール
これ、調べていて個人的にかなり驚いたんですが市橋達也って本当にいわゆる「ハイスペック男性」の条件をほぼ全部満たしているんですよ。
身長は180cmを超えていて顔立ちも整っている。
千葉大学卒の高学歴で中学時代はバスケ部の副キャプテンを務めて生徒会役員もやっていたらしく、なんか青春の勝ち組みたいな感じというか。
足も学年トップクラスで速くて(逃亡中に警官を振りほどいたのもそのせいとも言われてますね)、空手の黒帯保持者。
さらには英語やフランス語が堪能でご両親と姉が全員医師という裕福な家庭の出身。
しかも逃亡中に書いた手記が出版されて、1000万円以上の印税収入があったとも言われていて…うん。これは確かにネットで話題になるわと思いました。
要するに「犯罪者の顔」ではなくて「雑誌に出てきそうな人の顔」をしていたから、そこに反応した人が多かったんだと思います。
ファンクラブが誕生した経緯
mixiに1300人超が集まった衝撃の事実
逮捕直後の2009年、SNSのmixiに「超イケメン市橋達也さんを応援しましょう!」というコミュニティが複数立ち上がりました。そのひとつには1396人が登録したといいます。
1396人ですよ。
殺人事件の犯人が逮捕されてすぐそれだけの人数が「応援」目的でSNSに集まるって、普通に考えたらかなり異常な光景だと思うんですが、それが実際に起きた。
コミュニティ内には「根はすごく優しい人だと思う」「イケメンすぎて困る」みたいな書き込みが並んでいたらしくて、そこで私はもう完全に「…うん。」ってなりました。

傍聴席まで足を運んだ「市橋ギャル」たち
熱心なファンはネット上にとどまらず、逮捕後の収容先に足を運んだり、裁判の傍聴席に繰り返し姿を現したりしていて。
「市橋ギャル」と呼ばれるくらいには、ひとつのグループとして認識されるほどになっていました。
個人的に一番インパクトがあったのは控訴審の傍聴でのエピソードで。被告が法廷で涙を見せると、一緒に泣き出す女性がいたらしいんですよ。
高熱があるにもかかわらず真っ赤な顔で駆けつけた女性もいたという話も出ていて、これはもう「好き」とか「かわいそう」を超えて、何か別の感情が動いているんじゃないかなと感じました。
市橋達也と言えば市橋ギャル#イット#しらべてみたら pic.twitter.com/oUI41kKGbR
— Akiひろ、akihiro (@www_zx2000) February 24, 2024
なぜファンが生まれるのか 心理を深掘りしてみた
「イケメンだから」では説明しきれない何か
「顔が好みだから応援する」というのは最初のきっかけとしてはわかる気がします。
ただ、それだけで傍聴席に通ったり、差し入れをしたりするまでにはなかなかならないと思うんですよね。
心理学的な観点から見ると犯罪者に惹かれる心理には
「強い男性への本能的な引力」
「カリスマ性への傾倒」
「被疑者への同情や共感」
が複合的に絡んでいると言われています。
要するに「顔が好き」の一言で終わる話じゃなくて、「強さ」とか「知恵」とか「誰にも捕まらなかった孤独な逃走者」みたいなイメージが無意識のうちに魅力として映っている可能性があるんですね。
あくまで私の仮説だけど961日という逃亡期間の長さも関係しているんじゃないかなと思っています。
普通の人には絶対にできないことをやってのけた、という事実が「圧倒的な能力のある人間」として映って、そこに惹かれる心理が働いたのかもしれない。
「自分なら変えられる」という救済幻想
これ、かなり重要な心理だと思っていて。
「自分なら彼を更生させられる」
「本当の優しさをわかってあげられるのは私だけ」
という感覚を持ってしまうことを、心理学では「救済幻想」と呼びます。
実際の危険性を過小評価させる一種の心理的な罠で市橋に限った話ではなくて、オウム真理教の上祐史浩氏を追いかけた「上祐ギャル」や、過去に獄中結婚をした女性のケースなど、似たような現象は繰り返し起きています。
「私が側にいれば、あの人は変われる」
という感覚って恋愛心理全般に通じる部分もあって。
それがたまたま犯罪者に向いてしまったという見方もできるかもしれません。
肌感で言うと
「自分にだけ本当のことを話してくれる」
みたいな特別感への欲求が根っこにある気がするんですよね。
マスコミ不信という「第三のルート」
あまり語られないけどここが意外と重要だったりするかもしれない。
「警察やメディアが一体になって悪者に仕立て上げている」
という陰謀論的な視点から市橋を支持していた層も確かに存在していました。
ただ、これは根拠のある批判ではなくて、印象や感情論によるものだと当時から指摘されていたようです。
でも、現代のSNS社会を見ていると、こういう「マスコミが隠している真実を私は知っている」という感覚に浸りやすい構造になっているなとは感じます。
市橋の事件はネット黎明期のことだったけど、もし今同じことが起きたら、もっと大きなムーブメントになっていたかもしれないですね。
現在もファンや支援者は存在するのか
差し入れや現金が今も届いている実態
2024年11月、逮捕から15年目の節目にデイリー新潮が報じたところによると、現在も刑務所の市橋受刑者(45)にはファンからの現金の差し入れが続いていて。
元受刑者の証言では「おそらく100万円ほど貯まっているのではないか」とも言われています。
100万円。これはちょっと本当に気になります。
過去には延べ216人から合計約266万円の募金が集まった支援活動も存在したとされていて、熱が冷めていないというか、むしろ一部の人の中では15年以上経っても変わっていないんですよね。
正直、そこが一番驚きでした。

ファンコミュニティの現在
かつてのmixiコミュニティは運営側によって削除されましたが、2023年時点でもSNS上に29人規模のコミュニティが確認されているそうです。
「市橋達也親営隊」
「適正な裁判を支える会」
といった支援組織の名前も出てきていて形を変えながら活動が続いているみたいです。
表立った活動は減っているものの、完全にゼロにはなっていない。これが現状のようですね。
この現象が私たちに問いかけていること
外見が「罪の感覚」を薄める現象
「イケメン無罪」という言葉がネット上で飛び交ったように、見た目の良さが犯罪の事実を感情的に薄めてしまうことがあります。
心理学では「ハロー効果」と呼ばれていて外見が良い人物に対して性格や能力まで肯定的に評価しやすくなる傾向が知られています(これは一般的な認知バイアスの話で、本件への適用はあくまで考察として受け取っていただければと思います)。
個人的にはこれが一番怖いなと思っていて。
「顔が良いから罪が軽く感じる」というのは本当に無意識のうちに起きていることで、自覚するのがかなり難しいんですよね。
「犯罪者ファン」は特殊でも珍しくもない
これ、日本だけの話でも市橋だけの話でもないんですよね。
欧米では連続殺人犯に恋愛感情を抱く「ハイブリストフィリア」として研究が進んでいる心理現象で、世界中で確認されています。
日本でも繰り返し似たような現象が起きていて、市橋事件はそのひとつに過ぎないとも言えるかもしれません。
自分の見立てではメディアやSNSの発達によって「犯罪者の人間的な一面」が可視化されやすくなったことで、こうした現象が起きやすい土壌ができているんじゃないかと思っています。
昔は顔写真すら手に入りにくかったけど、今はいろんな情報が瞬時に広まるので。
まとめ
- 市橋達也受刑者は2007年のリンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件の犯人で無期懲役が確定している
- 逮捕後にmixiのファンコミュニティに1396人が登録するなど、社会的に大きな話題になった
- ファンが生まれた背景には「外見への惹かれ」「救済幻想」「マスコミへの不信感」という複数の心理が絡み合っている
- 2024年時点でも刑務所への差し入れは続いており、ファンが完全にゼロになったわけではない
- この現象は市橋に限らず繰り返し起きており、人間の認知バイアスや社会心理の問題として捉える視点が重要
被害者であるリンゼイ・アン・ホーカーさんとそのご遺族の方々への敬意を忘れないまま、こうした社会現象の「なぜ」を知ることは、私たちが同じ過ちを繰り返さないための第一歩になると思います。
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